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BCPアンケートの集計結果(クリックして開く)

アジェンダ

はじめに

平成27年2⽉5⽇〜6⽇に開催された「第19回 震災対策技術展@横浜」において、
当社は「BCP強化サービス」をテーマにブース出展いたしました。

先ずは、この度の出展にあたり、ご協⼒頂きましたお客様や関係者の皆様に、厚く御礼申し上げます。

今回の出展では、当社ブースにご来場いただいたお客様を対象に、BCPの整備や取組み状況に関するアンケート(BCPアンケート)を実施いたしました。

当レポートは、この際にご協⼒頂いたBCPアンケートの集計結果をまとめたものです。

1.アンケートの回答状況

今回のBCPアンケートでは、以下の表1にまとめた通り、
2⽇間で73の企業・官公庁・団体(以後、企業等)から、BCPの整備状況について、ご回答を頂きました。
なお、同⼀企業等からの複数回答分はカウントから除外しています

規模1規模2規模3規模4総計
事業会社91220748
官公庁・公的機関62311
業界団体33
病院・NPO法⼈等178
その他33
総計1514242073
表1︓アンケート回答状況

規模1:中央官庁、連結売上⾼1兆円以上の企業
規模2:上場企業(グループ会社を含む)、若しくは社員・職員数が1,000名以上の組織
規模3:社員・職員数が100〜999名の組織
規模4:中⼩企業〜個⼈事業レベル

2.来場者の⽬的

先ず「BCPアンケート」にご協⼒頂いたお客様が、どの様なテーマに関⼼を持っているかを集計した結果は以下(グラフ1)の通りです。

グラフ1:関心を持っているテーマ

左グラフの通り、BCPに⾼い関⼼を⽰しているお客様が突出して多いです、

これはアンケートを実施した当社ブースが「BCP」をテーマに出展した為の考えられる為、考察対象から除外します。

その結果、お客様のおよそ半数は、依然として備蓄品などに関⼼を持ち、次いで先の東⽇本⼤震災の折に多くの企業等で問題に直⾯した「⾮常時通信対策」(32%)や「電⼒対策」(18%)への関⼼が⽐較的、⾼いといえます。
反⾯、⼟⽯流災害などに代表される⽔害対策については、お客様の関⼼は未だ限定的といえます。
また、「⾮常時通信対策」「電⼒対策」「⽔害対策」の3テーマでは、お客様の所属組織によって関⼼の⾼さが顕著に異なります。

備蓄品電力通信水害
事業会社52%23%29%6%
官公庁・公的機関55%9%9%27%
業界団体67%33%0%0%
病院・NPO法⼈等63%0%25%38%
その他33%0%0%0%
表2︓組織形態別の「関⼼が⾼い」と回答した割合
  • 備蓄品:公的機関、事業会社など全ての組織形態で総じて関⼼が⾼い。
  • 通信・電⼒対策:事業会社の関⼼が⽐較的⾼い反⾯、公的機関などはその限りではない。
  • ⽔害対策:公的機関や病院・NPO法⼈などと⽐べ、事業会社の関⼼が著しく低い。

3.BCPの整備状況

次に、各社等のBCPの整備状況は、規模毎に顕著な差異がみられます。

グラフ2︓規模別のBCP策定状況

上記(グラフ2)からも明らかな通り、規模が⼤きくなる程、BCPの策定が“当たり前”になっている反⾯、中堅企業(若しくは、従業員100~999⼈規模の組織)の約4割、中⼩企業の過半数の企業では、未だにBCPが策定されていません。

但し、これらの未策定の企業等でも、教育や訓練を実施しているケースがある為、例えば、従業員等の安全を確保する為の「災害対策ルール」等は既に規定している企業等は少なくないと考えられます。

また、BCPの策定状況と経営トップの関与姿勢の関係では、以下の傾向が⾒られます。(グラフ3参照)

  • 経営トップが(全く)関与していない場合、BCPを策定していない事が多い。
  • ただし、BCP策定済みのケースであっても、経営トップが積極的に関与しているとは限らない。
グラフ3︓BCP策定状況と経営者(トップ)の関与姿勢の関係

4.BCPの内容

当章からは、BCPを策定済みの企業等に焦点を絞り、規定されている項⽬の傾向を検証します

先ず、各社等がBCPで規定している項⽬を⽐較した結果、規定状況に⼤きな差異がある項⽬があります。

グラフ4︓BCPで規定している項⽬
多くのBCPで規定されている項目BCP策定済みでも未規定が多い項目
1.⾮常時の社内体制(41件/85%)
2.備蓄品(35件/73%)
3.BCP発動基準・条件
1.復旧⽬標(17件/35%)
2.代替⼿段(16件/33%)
3.現場の権限(16件/33%)
4.平時の運⽤体制(14件/29%)
グラフ5

次に、各社等のBCP内容の網羅性では、ほぼ全ての項⽬を網羅したBCPを策定している企業等が全体の約1/4を占める反⾯、半分以下の項⽬しか規定できていない企業等も約半数を占めるなど、各社等のBCPの中⾝(内容充実度)には、⼤きなバラツキがみられます。

そこで、先述の内容充実度ごとに、各項⽬の規定状況を検証した結果を以下(グラフ6)にまとめます。

グラフ6︓BCP内容充実度別の項⽬規定状況

上述の通り、充実度によって規定率が⼤きく異なる項⽬と、充実度に関係なく多くの企業等で規定している項⽬が混在しています。

そこで当社は、この検証結果を踏まえ、特に未だ内容充実の余地がある企業等に参考にして頂ける様、BCPを段階的に充実させる為の検討項⽬モデル(仮説)を、まとめました。

図1︓BCP内容充実に向けた検討項⽬モデル(当社の仮説)

5.優先業務

6.社内研修と想定訓練

最後にBCP策定後の各社の対応について検証しました。

その結果、下の表3からも明らかな通り、社内研修と想定訓練については、社内研修と想定訓練を共に繰り返し実施しているケース(緑⾊部分)と、研修・訓練ともにBCP策定時に多くて1度実施しただけのケース(朱⾊部分)に顕著に分かれる傾向にあります。

表3︓想定訓練と社内研修(教育)の実施状況
グラフ9︓訓練と研修を繰り返し実施している組織とそれ以外の組織の研修対象

更に、研修と訓練を繰り返し実施している企業等では、そうでない企業等と⽐べて、幅広い対象者に対して、研修を実施している傾向にあります。
(特に、経営者向けで3.9倍、契約社員やパート向けで4.3倍の差異があります。)

7.最後に

今回のBCPアンケートを検証した結果、

  • 例え、BCPを策定済みであっても、規定している内容は⼤きく異なる。
  • しかも、策定したBCPを内部に浸透させる為の活動(研修と訓練)にも⼤きなバラツキがある。

事が、改めて明らかになりました。


他⽅、(1)実際に実効性のある具体的な中⾝の検討、(2)関係者や現場への浸透、を課題として挙げている企業等も少なくありませんでした。

こうした現状を踏まえると、今後、BCPの定着化を推進し、実効性を⾼める為には

  • 先ず、いまのBCPを完成形と考えない事
  • 次に、訓練と研修をセットで繰り返し実⾏できる体制を整える事
  • そのうえで、研修→訓練→内容⾒直しのBCP強化サイクルを継続的に推進する事が⽋かせない

と⾔えます。

即ち、BCPの整備を、⼀過性の取り組みと考えず、業務改善活動と同じく、平素の業務の中に組み込み⾃社にあった形で少しずつレベルアップを図る取り組みにする事が唯⼀のアプローチだと、⾔えます。

最後になりましたが、BCPアンケートにご協⼒頂きましたお客様に厚く御礼申し上げます。

CIOパートナーズ株式会社
吉田 明弘