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第1部 働き方改革における情報システムの役割(クリックして開く)

アジェンダ

はじめに…

働き方改革は非常に多岐に渡る論点があります。

従って、今回のセミナーは「実績ベースの利益管理のあり方」に焦点を絞って講演します。

また、ポイントを出来るだけ分かり易く解説する為に、具体例を用いていますが、
反面、皆様の会社の実態とは異なる例示も少なくない、と考えられます。

こうした点をご理解いただきたく、予めお願い申し上げます。

1.働き方改革とは?

安倍政権で平成28年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」の一環

男性も女性も、お年寄りも若者も、一度失敗を経験した方も、障害や難病のある方も、
家庭で、職場で、地域で、あらゆる場で、誰もが活躍できる、いわば全員参加型の一億総活躍型社会を実現

  • 同一労働同一賃金の実現
    • 非正規社員の待遇改善と生産性向上
    • 業績管理・評価方法の変更
  • 長時間労働の是正
    • 多様なライフスタイルの推進
    • 少子化対策
    • 少ない睡眠時間を自慢し、超多忙が生産的という意識の変更
  • 高齢者の就労促進
    • 働きたい高齢者の就業支援知恵の継承

3本の矢すべてが働き方改革につながっている

2.なぜ働き方改革?

なぜ働き方改革なのか?

昭和から平成そして令和へと、社会構造は大きく変化しています。

この時代の変化についていくには、発送の転換が必要だが追い付いておらず、気合と根性で乗り切るには無理があり、ここには「改革」が必要です。

3つの大きな変化

そもそも現在も適用されている働き方の制度設計は1947年策定の労働基準法がベースとなっている。

しかし1947年当時の社会の在り方と、2017年現在の社会の在り方では、
経済の低成長化、企業活動のありかた、価値の多様化など、今までと働くための「前提」が変わってきている。

高成長期の日本

社会情勢・経済環境として
・高成長の経済(戦後復興期と高度成長期)
・市場拡大と景気の拡大
・人口増に伴う内需の拡大
・新興国の需要の取り込み
売上前年比アップを目指す
量的拡大・企業の拡大が是
基本的には人不足・働いても働いても仕事はある
しかもモーレツに働けばどんどん成果が出る

結果として
長時間働いても成果が目に見えて現れるため、モチベーションが維持できた
生活がまだまだ貧しかったためどんどん働いて生活を豊かにすることに価値が置かれていた
単純で肉体的な仕事が多く、多少の無理はきいた

21世紀の日本

社会情勢・経済環境として
・低成長の経済(またはマイナス成長)
・市場縮小化
・人口減に伴う内需の縮小
・新興国への仕事の移転
量的拡大・企業の拡大にも限界がある
リストラによる人員整理
仕事に内容が精神的かつ知的労働になっている
長時間働いても成果が見えにくい

結果として
長時間働いても成果が見えない為、精神的に疲労する
生活に余裕ができて、仕事以外にも価値を見出している
精神的でかつ知的労働が増えて、ストレスがたまりやすく長時間働けなくなっている

  • 社会情勢・経済環境の変化に制度がついていけていないことのひずみの顕れ
    • 今までの業務改善やBPRなどとの違い
      • 業務改善やBPRは所与の前提条件の範囲内で業務のムリ・ムダ・ムラをなくす活動
      • 働き方改革は前提条件そのものを見直す活動

前提や意識そのものを変える
だから「改善」ではなく「改革」

3.カイゼンとカイカク

<カイゼン>
前提の条件は変えない
ボトムアップ方式
現場が知恵を出しあう
<カイカク>
前提(当たり前)を見直す
トップダウン方式
トップが方向性を提示する
目的
目的
能率アップ
安全性向上
品質不具合防止
など
人事制度変更
勤務体系の多様化
評価制度変更
など
手順の変更
マニュアルの改訂
教育訓練の実施など
意識の変更
約款・規程の改訂
啓蒙活動の実施など

カイカクの4要素の関係と検討の流れ

【一般的な改革における検討の流れ】

  1. 経営戦略から改革方針を設定
  2. 改革方針を実現する仮説を立案
  3. 仮説を検証したうえで、新しい働き方モデルの定義
    • 改革後の働き方の枠組み・組織体制の決定
    • 職務規定や人事評価などの基準の定義
    • 制度骨子の策定、など
  4. 新業務モデルを実現する為の課題(実現課題)をリストアップ
    • ITシステムの整備
    • 社内規程(ルール)の改訂
    • 管理手法の変更、など
  5. 定着化に向けた実行化計画の策定

カイカクの重要性を、経営層は充分に認識していても、実際の活動は一向に進んでいない企業が少なくありません

働き方改革をしたことで売上が下がるのではないか

  • 時間を減らす休みを増やすことで、利益が減ってしまうのではないか…
  • 指標が売上のみであると、こうした不安を取り除くことはできない。

問題があった時に責任を取らされるのではないか

  • 管理やチェックをガチガチに行わないと何かあった時に責任問題となる…
  • 管理のための管理作業、無駄な会議が多く、何を減らしていいのかがわからない…

従業員の行動に変化がない

  • 残業規制や時間削減をしても持ち帰って作業するなどかえって悪化している…
  • 現場は、制度の変更に関係なく、同じ日常業務を繰り返している…

この様な問題の多くは、経営者、従業員や情報システムではなく、

経営と現場が同じ方向を向いて取り組んでいくためのルール作りに原因

があります。

前提条件の見直しまで踏み込んだ業務の見直しが不可避。

しかし、その為には、部門まかせ・個人まかせでは不可能。
経営トップのリーダーシップの下で、全社を挙げた取組みが欠かせません。

長時間労働の削減(ひいては働き方改革の実現)を図るには、仕事の進め方や評価の在り方、職場の風潮、社員の意識・考え方など、あらゆるものを変える必要があります。

これは、朝日新聞社が昨年実施したアンケート(長時間労働を減らすための方策について)からも同じ傾向が読み取れます。

出所:朝日新聞(2016年6月19日付)より作成

しかし、実際は長時間労働を減らす事だけを目的に、
安易に人手を増やす(固定費の増加を招く)事は「選択できない選択肢」です。

故に実際は、

仕事や評価の仕方を見直す事、社員の意識を変える事

が避けて通れません。

4.変化への対応

出所:国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」2016年版

【人口の変化】
日本は2005年に人口ボーナス期(人口拡大期)が終了し、現在は人口オーナス期と呼ばれる人口減少期に突入している

今までの人的環境
若年人口が豊富で企業にとって制約のない(少ない)人材だけで十分であった
オフィスに通勤して通ってもらうことにも支障は少なかった
育児・介護など企業にとっては制約のある人材の活用

当たり前を見直す通勤をして集まる必要があるのか?
変化に対応するために見直すべきこと
「経営ビジョン」
どのような人材に集まってほしいのか
「意識」
多様な働き方に対する理解
「職場環境」
オフィスの場所、福利厚生など
「制度」
多様な働き方に対する評価・待遇など
今後の人的環境
障害・育児・介護など企業にとっては制約のある人材の活用
能力はあるが、育児・介護のために遠隔地に通えない
車いす等では満員電車に乗りにくい

例)通勤

平均通勤時間(片道)平均鉄道乗車距離定定期代(1ヶ月)
首都圏68.8分24.2Km東京~浦和
(24.2Km)
11,630円
中京圏61.1分21.9Km名古屋~神領
(20.8Km)
12,310円
近畿圏62.7分22.8Km大阪~摂津本山
(22.1km)
11,660円

【時間面】
毎日往復で平均130分が通勤時間。一か月22日とすると約48時間は通勤時間(つまり1か月のうち2日間)年間24日は通勤時間35年勤務すると840日

会社人生で2年と100日は通勤時間

【費用面】
鉄道のみの定期代で1か月11000円~12000円。さらに二次アクセスのバスなどを含めると2万円程度

シェアオフィスなら2万円~

当たり前を見直すことが重要であり、

費用面でも本当に通勤してもらうことが経営上最適かどうか

を含めて検討する。

5.働き方改革におけるITとは

働き方「改革」において最初に検討することは、
会社なりの「働き方」を定義すること簡単に聞こえる「働き方」という言葉も、
企業によって、また企業内でも人によって捉え方や受け止め方は様々。

まずは、自社の経営ビジョン、社員の意識、職場環境、制度を見つめなおし、再定義することが重要

経営ビジョン企業としてどのような働き方を目指すのか
企業の価値観、企業文化の再定義及び周知徹底
社員の意識多様な働き方に対する理解
変えることそのものに対する抵抗感
職場環境多様な働き方に対する理解
変えることそのものに対する抵抗感
制度育児や介護などが必要なシーンでの働き方の柔軟性、在宅勤務時のガイドラインなど策定
時間とは違う軸での評価制度
働き方「改革」におけるITの役割
働き方改革に関してさまざまなITソリューションが発表されていますERP、文書管理
確かに技術は重要ですが…
ソリューションありきになっていませんか?
DWH、BI
ソリューションはカイゼンにおいては有効に作用しますEIP、BPR

しかし、

テクノロジはマネジメントの代替にはなりません!

【働き方「改革」おけるITの役割】
改革において重要なのは、それを「何のために」するかということ(WHY)
企業文化や哲学、ビジョンと照し合わせて、
なぜ「その働き方」をするのかをきちんと考えること

働き方改革そのものを解決するITソリューションはありません
ITは働き方改革を推進するためのツールであり、働き方改革を推進するために考える材料を提供するものである。

働き方「改革」におけるITの紹介

何のため
(WHY)
何をする
(WHAT)
活用できるITの力
(HOW)
時間や行動に制限がある
人を活用する
在宅勤務や自宅圏内オフィスでの勤務テレワーキング
Web会議システム
仕事を見える化してシェアしたい業務見直し
無駄な仕事を減らす
クラウド上でのファイルシェア
チームワークツール
手作業の仕事を減らして効率化したい定例的な手作業は自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オー
トメーション)
無駄な会議・確認のための会議などを減らすいつでもコミュニケーションを図れるようにするオンライン会議システム
Instant Message(IM)
現在の働き方の無駄を見つけたい従業員の時間の使い方の見える化AIを使った作業の分析

働き方改革の例(建材・緑化事業会社T)

背景

  • 緑化ビジネスは現場の所在地がさまざまな場所にあり、移動距離が長い
  • 提案資料や報告書は鮮明な画像や動画が必要なため、容量が大きくメール等では送信できないため、本社のファイルサーバに一元管理していた
  • ファイルサーバに報告書ファイルを提出するためや、提案書ファイルを入手するために、埼玉に住む社員が栃木等に行く際でも、いったん東京の本社に行く必要があった

目的

  • そもそも移動を減らしたい
  • 提案書ファイル、報告書ファイルの共有をタイムリーに行いたい
  • 他の社員が作成・保管したファイルを迅速に探したい
  • 重要ファイルを管理するファイルサーバ(4TB)の管理者の負担軽減

検討事項

  • ファイルの保管場所と経路のセキュリティが確保されていること
  • 新しいツールを使った場合、業務をシンプル化できるか
  • うっかりによる削除やファイル編集の競合を避けられる
  • ITに詳しくない人にもわかりやすいユーザインタフェース

利用したITソリューション

  • クラウドのファイル共有システムを利用する

利用後の効果

  • 資料の閲覧や送受信が自由にできることで場所に縛られない作業環境を実現迅速な顧客対応も可能に
  • 容量の大きい画像データやファイルも、万全のセキュリティで社内外を問わず安心して送受信できる
  • 現場から送られたデータを本社にいる責任者が直接閲覧できることで、本社に戻る手間やメール送信の工程が丸ごと不要になりシンプル化できた
  • うっかり削除の対応が減った

業務面、管理面の両方で生産性向上!

さらなる改革を進めるため、
クラウドファイル共有システムの利用浸透により在宅勤務の実施を許可し、さらなる移動時間の削減を目指す。

総括

働き方改革とは日本の社会構造の変化に適応するための抜本的改革です。
量から質へ、マスから個人へ、モノからコトへ。

三方よしのうち、「売り手よし」が「働き方改革」です。
ハンデや制約を抱えた人も社会に参加していけるような働き方
「時間」とは違う軸で働く環境を作ることです。

働き方改革そのものを解決するITソリューションはありません。
働き方改革における情報システムとは
働き方改革を推進するためのツールであり、
働き方改革を推進するために分析し、
知恵を出すための材料を提供するものである・

最後に…

It is not the strongest of the species that survives,
nor the most intelligent that survives.
It is the one that is most adaptable to change.
Charles Darwin

生き残る種とは、
最も強いものではない。
最も知的なものでもない。
それは、変化に最もよく適応したものである。

チャールズ・ダーウィン

CIOパートナーズ株式会社
代表取締役 吉⽥明弘

第2部 働き方改革の成否を左右する業務のシンプル化の進め方と他社事例(クリックして開く)

アジェンダ

1.経営トップは「働き方改革」に対して…

2017年の年初以降、経営トップの働き方改革に関する言及が増加する等、働き方改革への関心が急速に高まっています。

2.ホワイトカラーの働き方の実態~ある企業の調査結果より~

前述の通り、企業経営者の「働き方改革」への関心は急速に高まっています。

しかし、現在の労働実態(特にホワイトカラーの労働実態)とのギャップが極めて深刻な企業が少なくありません。

そこで、弊社が最近「労働実態(働き方)の実態調査」を実施したある企業の調査結果(概略)を紹介します。

【対象企業のプロフィール】

  • 調査時期:2015年末
  • 調査方式:外部ドメインに専用サイトを開設してアンケート調査
  • 調査対象:管理職、一般社員、非正規社員、派遣社員(全数:1000人越)
  • 主要職種:営業、流通、管理 ※いわゆる「営業中心」の会社

※一部、投影のみ

評価等職場の風潮

  • 『有給を取るとボーナスや昇給に影響が出る、と言われたことがある』
  • 『振替であっても平日に休んでいると白い目で見られる』
  • 『昼休み時間を削って仕事をしているパートさんがいるのに、周りが無関心』

業務の配分と制約

  • 『一人一人の業務負担が多く、休日を非常にとりにくい』
  • 『休みを取った場合、業務を代行できる人間がいない』
  • 『(就業時間後の退勤について)いつも仕事が残り、自宅で作業している』

会社の姿勢(本気度)

  • 『一般社員は強制退社の命令が出るが、管理職は残業がつかない事から社内で勤務している』
  • 『時間外に会議、清掃を義務付けられている』
  • 『業務内容や人員の配置などを考慮せず、残業の多さだけを指摘している』
  • 『創立記念日が休みではない』
  • 『個人レベルの努力のみにその解決を求めようとする』

3.なぜ、長時間労働の是正が進まないのか…

ライフワークバランスのとれた職場環境の実現を目指して、多くの企業が長時間労働の是正に取組んでいます。

しかし、特に「ホワイトカラーの業務」では、残念ながら成果を上げるに至っていない企業が散見されます。

そこで、前述の調査結果等をもとに、
長時間労働の是正に向けた弊社が考えるボトルネックを以下にまとめます。

4.長時間労働の是正(ボトルネック解消)に必要な対策

長時間労働の是正には、働き方と評価の制度を変えるだけでなく、業務を変え、その為にICTを活用し、意識改革を促す。
その為の大前提として、経営トップが強い決意で働き方改革に挑むリーダーシップを発揮する事が欠かせません。

5.働き方改革の方向性~弊社が提唱する「働き方改革推進サイクル」~

6.従来の業務改善と働き方改革における業務改革(業務のシンプル化)の違い

働き方改革における「業務のシンプル化」は、以下の点でこれまで多くの企業が取り組んできた業務改善とは異なります。

【シングルループ学習とダブルループ学習】

  • 1978年、アメリカの組織心理学者クリス・アージリスとドナルド・アラン・ショーンが組織学習において提唱した理論
  • 組織(企業)は、シングルループだけでは環境に適応しながら生き残っていくことは難しい。過去の成功体験における固定観念を自らアンラーニングし、外部から新しい知識や枠組みを取り入れ、それをまたシングルループによって反復・強化していく。このサイクルを繰り返し継続できる組織だけが競争優位を保ち続けることができる、と提唱した。

7.業務のシンプル化のカギは「業務の制約」を無くす事

8.業務のシンプル化の第一歩。担当者の制約を無くすには…

担当者の制約をなくすには、「無くす事のできる業務」「割り切る事のできる業務」の見極めが重要です。

【業務シンプル化の観点】

  • ホワイトカラー業務であっても全てを一律で変える必要はない!
  • むしろ、客観的なデータ分析を通じて、悪影響の許容できる範囲を線引きし、濃淡をつけて業務を見直す事こそが実効性のある取組み

9.事例紹介:顧客ABC分析を使った営業体制の見直し(担当者の制約をなくす)

【サービス業B社(対象企業)が従前に抱えていた問題点】

  • 売上の大小に関わらず、古い付き合いのある顧客やクレーム・要望が多い顧客の対応に多くの営業工数(時間)を消費
  • しかも、そういった顧客ほど、担当営業が固定化(硬直化)し、支店長(責任者)の同行訪問が必要な機会も少なくなかった。(≒責任者の時間も大きく費やしていた)

営業のマンパワー不足と顧客情報の属人化により、
優良顧客の離反を未然に防ぐ事が出来なかった…

こうした状況を見直す為に、先ず「顧客ABC分析」を実施(以下に分析結果)

売上高(20%刻みで目盛線)、占有率 ※最上線は100%

【分析結果を踏まえた対応区分Aの顧客は…】

  • 複数営業が担当するチーム制に移行
  • 支店長の月1訪問をルール化

【一方で区分Cの顧客には…】

  • 各社毎に担当をつける営業体制を止め
  • 代りに事務スタッフが問い合わせ等にも一元的に対応する体制に移行(当面)
  • 今後、AI+SNS等を活用して問い合わせ対応の自動化を目指す事も視野に…

10.事例紹介:事務処理ABC分析を使った権限移譲と不要チェックの廃止

【メーカーC社(対象企業)が従前に抱えていた問題点】

対象業務:リベート請求書の内容チェック

  • 請求内容の確認が月末月初に集中し、営業担当者を忙殺
    ※しかも、出来る営業担当ほど業務負荷が大きい
  • 過去には、誤請求が数か月後に発覚した事もあった
請求チェック区分チェック方法
区分A従来通り、担当営業と営業責任者の二重チェックを継続(継続してリスクを低減)
区分B担当営業によるチェックに一本化(権限移譲)
区分C営業事務(スタッフ)による形式チェックだけに簡素化(今後はRPAを使い自動化)

11.働き方改革におけるRPAを活用したチェック削減

前述のC社における区分Bの業務見直しイメージを時系列でまとめ

異なる項目間の整合性の検証や複数のデータを突き合わせた請求内容の妥当性の照合等をシステム(RPAなど)を活用して自動化する。(予め検証方法のルール化等が欠かせない

12.非定型業務のモデル化(標準化)と業務情報の一元化の為に…

非定型業務は、いきなり個別プロセス(行動)に焦点をあてても、効率的にモデル化(標準化)する事はできません。

先ずは、当該業務を構成する「主な行動分類」を定義し、大枠を押さえてから、落とし込むアプローチが有効です。

(例示)営業活動の行動分類

また、法人向けの営業活動に代表される非定型業務では、
手法や手順(How to)が顧客毎に異なり、モデル化が行き詰まるケースが少なくありません。

この様な場合、無理して手法や手順(How to)レベルで基本モデルを構築する事に固執せず、
業務の進め方(シナリオ)や各(シナリオ)段階の要件・条件に焦点を絞って基本モデルを検討すべき、と弊社は考えています。

前述した「How toレベルでの検討が現実的ではない非定型業務」の営業活動の基本モデル設定例を以下に掲示します

営業シナリオ(6段階)

要件・条件への落とし込みが最も重要です。
シナリオだけプロジェクトで整理して、後を各担当者任せにしても、成果は見込めません(余計な手間が増えるだけ!)

13.働き方改革におけるミドル層のおかれた立場

働き方改革では、ミドル層に制約や要求が集中し、大きな重圧が掛かる事が考えられます。

こうしたミドル層のおかれた立場を理解し、ミドル層を抵抗勢力にしない様な取組みが働き方改革には求められています。

ミドルに押し付けるだけでは、折角の働き方改革も空回りするばかり…
外見(働き方や評価といった人事労務制度・ICT)だけ会社で整備し、後を部門任せにしても、成果は見込めません。

14.ミドル層の意識改革を進めるには…

働き方改革を推進する上で「ミドル層を如何にその気にさせるか…」が成否を分けるカギです。

しかし、働き方改革の成果や業務の見直し結果をミドル層に押し付けるばかりでは、
ミドル層が疲弊するばかりで、働き方改革は実現しません。

先ずは、経営トップ自らが働き方改革の実現ビジョンを明確にし、これまでは「出来て当然」と捉えていた事を改めて取捨選択し、
その姿勢を一貫して示し続ける【率先垂範】こそが、ミドル層の意識改革には何より重要です。

働き方改革の要諦は、ミドル層の意識改革にあり!

15.総括~業務を見直して働き方改革を実現するには…~

働き方改革は、目新しい「何か」を始める事ではありません…

常識や固定観念を改め、今迄の業務を見直す事が肝要!

  • 例えば、在宅勤務制度の導入や休暇制度の充実を図り、それに合わせてウェブ会議システムやテレワークシステム、といった新しいシステムを導入しても、それだけで働き方改革が実現する訳ではありません。
  • むしろ、経営トップが自ら率先垂範して、今迄の常識や社内の固定観念を改め、社員(特にミドル社員)の意識を変える事が働き方改革の本質です。

データの裏付けに基づいてリスクをとる…

合理的な取捨選択こそが業務の見直しには欠かせない!

  • 働き方改革では「業務の見直し」は避けては通れません。しかし、経験則や思い込みを引きずった業務の見直しは、本来の働き方改革の主旨にそぐわないだけでなく、企業価値を棄損する恐れもあります。
  • 個々の業務について、働き方改革後も継続する業務やルール/見直しの取捨選択を行うには、再構築した常識や固定観念を起点として、客観的なデータ検証を踏まえた検討が欠かせません。

変革しない理由づけとして…

自分の会社・業務を「特別視」しない!

  • 様々な企業を訪問し、その中で私たちが聞く事の多くは「…でも、それは他所でも普通にある事」です。
  • 自分の会社や業務を特別視して、出来ない理由ばかりを列挙するより、働き方改革の意義を受入れ、全員で「どうやって実現するのか」を検討する事こそ、働き方改革には欠かせません

CIOパートナーズ株式会社
代表取締役 吉⽥明弘