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第1部 事業継続に繋がるBCPとは… ~総論・一般論で終わらない、IT対策に偏らない為のポイント~(クリックして開く)

アジェンダ

1.BCPとは…

BCPとは、「Business Continuity Plan」の略で、事業継続計画を意味します。

先の大震災以降、いずれ発生すると考えられている首都直下型地震や南海トラフ地震(3連動地震)への対応を見据えて、上場・未上場を問わず多くの企業が、自社のBCPの策定や見直しに取組んでいます。

また最近では、仕入先からの部品供給体制の確保等、「サプライチェーンの事業(業務)継続」を意図した顧客企業からの要請を受けて、取組む企業も少なくありません。

加えて、大震災以降、投資家(特に海外の機関投資家)から、事業継続の観点で

日本特有の自然災害リスクにあたる地震対策の説明を求められる機会

が増えている事も、企業がBCP整備に取組む要因のひとつとなっています。

事業継続の取組みとは

事業継続ガイドライン

企業は、災害や事故で被害を受けても、取引先等の利害関係者から、重要業務が中断しないこと、中断しても可能な限り短い期間で再開することが望まれている。
また、事業継続は企業自らにとっても、重要業務中断に伴う顧客の他社への流出、マーケットシェアの低下、企業評価の低下などから企業を守る経営レベルの戦略的課題と位置づけられる。

この事業継続を追求する計画を「事業継続計画」(BCP:Business ContinuityPlan)と呼び、内容としては、バックアップのシステムやオフィスの確保、即応した要員の確保、迅速な安否確認などが典型である。
それらは、事業内容や企業規模に応じた取組みでよく、多額の出費を伴わずとも一定の対応は可能なことから、すべての企業に相応した取組みが望まれている。

2.経営課題とBCP

経営課題とBCP

CIOパートナーズが提唱する企業価値の増大サイクルは

  1. 資産のムダを無くす(選択と、ヒト・モノ・カネの集中)
  2. 事業の収益力を向上(将来も含めた収益力強化)
  3. 投資家への適切な説明(積極的なIR活動)

企業価値(株式時価総額)の増大

と、考えています。

今は海外資本の存在感が増大することにより、
事業の収益力を向上(2)と投資家への適切な説明(3)が企業価値に大きく影響を与えます。

  • 将来の見込みが企業価値・評価を大きく左右
  • 東日本大震災以降、日本の震災リスクを改めて認識…

つまり、

「BCPは整備されていて、当たりまえ…」

となっています。

3.BCPと災害対策マニュアルの違い

BCPと災害対策マニュアルの違い

BCPと災害対策マニュアルの違い、及び災害対策マニュアルと対比したBCPの特徴を3つにまとめます。

  1. 初動の整合性確保が重要
    • 同じ事象で、BCPと災害対策マニュアルの双方の適用が求められる場合、初動の整合性確保が重要です。
    • 特に、危機認定や招集する対策本部メンバーと体制、最初の確認事項などは整合性確保が不可避です。
  2. 予め分散配置や円滑な代替に向けた準備
    • BCPでは災害対策マニュアルで主に講じられる被害軽減に向けた取り組みに加えて、万一の際に備えて、予め分散配置や円滑な代替に向けた準備が重要です。
    • しかも、取引先なども交えた包括的な対応が必要です。
  3. BCPは平時の営業活動にも影響
    • 最近では重要業務の取引先の選定や見直しの際、BCP体制を重要な選定要素とする動きが顕著であり、BCPは平時の営業活動にも影響します。
    • 特に製造や物流等の重要業務の委託先選定では、BCP観点から取引先の見直しや分散を図る大手企業の動きが顕在化しています。

4.BCP整備の狙い ~スタート(事業再開)とゴール(復旧完了)の差~

BCP整備の狙い ~スタート(事業再開)とゴール(復旧完了)の差~

震災(インシデント)が発生した際、
事業再開(スタート)時点での開きが、復旧完了(ゴール)時点ではさらに拡大することが多いです。

社内、社会ともに混乱する初動期をスムーズに乗り切る為の準備に加え、適切な事前対策を講じることで、

少しでも早く、高い事業水準での事業再開・復旧完了を実現できる様にする

ことこそが、BCPを策定・整備する最大の狙いです。

5.BCP整備の進め方

BCP整備の進め方

事前のルール化

  • 震災などインシデントの発生後の体制や業務手順、確認事項、連絡方法等を事前にとりまとめた(策定した)対応計画。
  • 特に、事業の再開(スタート)や平時体制への移行(対策本部の解散)に要する所要時間の短縮(時間的ロスの解消)に効果的。

事前の対策

  • 将来のインシデント発生を見据えて、被災時の損壊程度の軽減や業務・業務の代替(による事業の早期再開)などを狙って取組む施策。
  • 費用対効果を念頭に、優先すべき事業や、その事業を遂行する上で不可欠な重要業務、重要資源に焦点を絞って検討する必要がある。

緩和措置

  • 被災時の損壊などのリスクを緩和・軽減する為の措置(施策)
  • 事業再開に必要な重要資源(ボトルネック)の調達リスク緩和を狙った投資(備蓄など)も含まれる。(例)燃料確保、電力確保、など

分散・再配置

  • 被災時の損壊・中断リスクの抑制に向けて、業務や資源、取引先などを予め分散配置する為の措置。
  • 業務や業務の分散、再配置に合わせて、人材の再配置や養成が必要となる場合も少なくない。

見える化・標準化

  • 被災拠点が業務停止に陥った際に、代替拠点で速やかに業務を引き継ぐ事ができる様、予め業務の見える化や標準化に取組む措置。
  • 震災時は、長期間に渡って被災拠点が再開できない事も想定される為、一定期間に渡って業務を代替できる環境を整える必要がある。

事前のルール化だけでは、実効性は大きく向上しない。
「事前の対策」で、はじめて危機に強い会社となる。

6.事業再開に向けた2つのアプローチ

概要事業再開を阻むリスク・懸念事項適用する推奨業務代表的な事前の対策
代替震災などで拠点が被災し、遂行不能となった業務を、被災していない拠点で代替し、事業再開を目指すアプローチ・代替期間は、平時体制よりコストが増大する。(例)輸送コスト
・代替できる仕事量に請願があり、完全に代替しきれない場合がある。
優先事業の重要業務を担う業務の中でも、特に事業再開においてサプライ・チェーンの中核となる業務
(対象拠点の例)本社、研究機関、マザー工場、物流センター、データ・センター、等
如何に代表される事前の対応が必要となる。
・予め業務や体制の分散
・代替拠点でのリカバリーを見越した事前準備(業務の見える化、標準化など)
復旧新s内などで被災した拠点の業務を、短時間で復旧し、事業の再開を目指すアプローチ・早期復旧を目指す程、震災の影響を低減する為に大きなコストが必要になる傾向にある。
・甚大な被災を受けた際、復旧見込みが立たず、業務を破棄せざるを得ない恐れがある。
・社会インフラの損壊等、自社の範疇を超えた要因に復旧が阻まれる恐れがある。
優先事業における業務であっても、事業再開を全面的に阻害しない業務(部分再開が可能な業務)
(対象拠点の例)営業所、汎用品工場、店舗、研修所、など
復旧の長期化リスクを受容できない場合、設備投資を伴う被害の緩和措置が必要となる
事業再開に向けた2つのアプローチの比較

代替、復旧の何れのアプローチを採用する場合でも、BCP策定後の事前対応が肝心です。

同じ会社であっても、業務や拠点毎に採用すべきアプローチは異なります。

アプローチは事業の再開時点で、業務の必要性・重要性や費用対効果を踏まえた検討

が必要です。

7.BCPの策定・整備に向けたロードマップ

全体の流れ

BCPの策定・整備に向けたロードマップ(全体の流れ)

BCPの策定・整備に向けたロードマップの全体の流れとして、
自社中心の整備⇒グループ全体を包含した整備⇒サプライチェーン全体の整備、を意識する必要があります。

これは、顧客や投資家への説明⇒ステークホルダーとの信頼関係の強化⇒ビジネスの差別化につながります。

その中でも、事前策定(即ち”BCPの整備”)には

  • 現場への展開&想定訓練
  • 業務改善
    • 業務の標準化
    • 業務方法の改訂
    • 業務の見える化
  • 取引先への展開&合同訓練
  • (軽減措置等)事前対策
  • 業務体制の見直し
    • 分散配置
    • 外部委託、など

が含まれます。

BCPの策定で留まる事なく、スピード感をもって整備に取組む事で、コストが投資に“生まれ変わる”

BCP策定プロセス

8.BCPの策定・整備におけるポイント ~実効性のあるBCPに向けた6カ条~

【ポイント1】最悪の事態を想定して、同じスタートラインに立つ

最悪の事態を想定して、同じスタートラインに立つ

過去の震災と同じ程度のイメージを持ってしまう…
経済活動そのものが不可能な極端な被害をイメージしてしまう…

同じ会社であっても、部署、経験、個性・性格、立場・役職で、災害イメージは異なり、
想定する事態すらもバラバラだと、結論が出ない「失敗」の元凶となってしまいます。

そうならないために、

社内の全員が納得できる想定事象の模索を続けるのではなく、
先ずは明文化して、繰り返し説明する

事が重要です。

参考:首都直下型地震で想定される被害状況(概略)

項目想定内容(東京都の推定等)出所や影響など、補足事項
地震規模M7.3~8.2の地震により、都心で最大、震度7東京都の推定
建物被害約30万棟超うち、火災による焼失が20万棟以上、見込まれる。
(東京都の推定)
帰宅難民約517万人(東京都の推定)
また、他社では震災翌日の出社率を20~30%と想定しているケースが多い。
道路被害高速道路 約10%
一般道路 約9%が損壊
応急措置を講じても、救助や緊急物資の輸送以外に使えない程度の被害を受ける道路を指す。(東京都の推定)
インフラ施設の損壊(1)損壊
送電施設 約17%
通信施設 約7%
ガス管 約85%
東日本大震災では、送電・通信施設は1週間で約8割が復旧。ただし、ガス管等は復旧に1か月以上の長期を要する事が多い。
インフラ施設の損壊(2)上水道(水道管)の45%、下水道の23%が損壊水道管の復旧には長期を要する。
(東日本大震災の場合、ガス管同様、1か月以上の復旧期間を要する)深刻な水不足により、ミネラル・ウォータの需要が、全国の生産量を上回る試算も一部にある。
立入制限環状7号線の内側震度6弱以上であれば、同地区の立入を制限する可能性がある。(警視庁)
湾岸地区の被害バース(岸壁)全体の約75%が損壊。
浮き屋根式タンクの10%超で原油の流出と火災が発生
濱田教授(早大)の試算。
東京湾岸は、東京電力の火力発電の約50%を担う事から、原油・電力が長期に渡り不足する事態も懸念される
首都圏の主な地震と活断層(講談社)
南関東におけるM7程度の地震の評価領域と過去に発生した主要な地震(文科省・地震調査研究推進本部)

【ポイント2】優先事業の復旧目標と再開時の事業モデルの設定

優先事業の復旧目標と再開時の事業モデルの設定①

再開時の事業モデルを考えるあたり、

被災した拠点が従来、になっていた事業活動を、非被災拠点が如何にサポートするか

を念頭に検討しなければなりません。

検討するために先ずは、経済的影響/社会的影響/法的責任を考慮して、
優先すべき事業の特定および復旧目標時期の設定をしなければなりません。

  1. 優先すべき事業の特定
    • 多様な観点で検討、定義する。
      • 顧客、商品やサービス、チャネル、地域
      • 時間的損失と代替品の有無など
  2. 復旧目標時期の設定
    • 事業再開の時期を目標に定める企業が多い。
      • (例1)医薬品医療分野
        震災発生の3日後から経済活動を再開
      • (例2)食料品分野
        震災発生の4日後から再開

優先すべき事業や復旧目標は、顧客を始めとしたサプライチェーン全体を見渡して検討する事が重要

優先事業の復旧目標と再開時の事業モデルの設定②

再開時の事業モデルは、商流(情報の流れ)+物流(ヒト・モノ)の2つの観点でモデル化できます。

さらに、運営体制を検討する上で、被災地を中心に混乱した状態にある事を念頭にした、

(非被災地)1:n(被災地)の関係

を構築できるかがカギとなります。

事業再開時は、被災拠点を非被災拠点がスムーズにサポートできる体制づくりが最大のテーマ

【ポイント3】外注業務も含めた重要業務・資源の選別

外注業務も含めた重要業務・資源の選別

対象となる業務資源には、一般的な自社の保有資産やスキル、データなどの無形資産に加えて、取引先(外注業務など)の取扱いが焦点といえる。

重要業務や重要資源の選定は、順序だったプロセスで、自社にとって納得できる選別を行う事が重要

【ポイント4】意思決定を起点に各論に落とし込む

事業再開までの初動で必要な検討事項

  • 対策本部の設置とメンバー召集
  • 先遣隊の派遣
  • 中核拠点(本社など)の使用可否
  • 被災拠点からの撤収、立入制限
  • 現地本部の設置(対象拠点)
  • 従業員の待機・外出禁止・出社先変更
  • 従業員への臨時貸し出し
  • 地域支援(地域住民からの要請対応)
  • 行政・自治体への支援・供出
  • 代行拠点への機能振替
  • 代行センターなど、代替組織の設置
  • 非被災拠点への物資調達・支援
  • 操業・出荷・営業停止
  • 損傷した資産、設備、在庫などの廃棄
  • 出荷・営業の再開(事業再開)
  • 出荷制限(得意先の限定)
  • 取引先への決済方法の変更(現金払い)
  • BCP(当初プラン)からの変更、など

BCPの特徴は平時には必要ない意思決定。
意思決定を起点に検討する事で、現場の対応事項や確認事項がスムーズに検討できる。

【ポイント5】新規投資から業務改善まで、幅広い選択肢の中から検討

例)東日本大震災の発生後の燃料(軽油)の供給推移

先の教訓では燃料不足が深刻化。影響は特定の業界に留まらず、

物流業務を伴うあらゆる業界のボトルネックに…。

重要資源の不足リスクの対応方針対応策(選択肢)
(例示)燃料不足の場合
費用負担改革要否
回避不足リスクそのものを根本的を無くす
・ビジネスモデルや拠点戦略を見直す事で、リスクそのものを無くす対応
・経済的負担以外にも様々な条件を伴う
・拠点(工場や納入先)を地理的に統合し、物流業務そのものを不要にする。極大必要
移転不足リスクの移転
・重要資源の不足や、それに伴い発生する経済的損失のリスクを転嫁する対応
・転嫁には事前の投資や費用負担を伴う
・物流委託先に、当社の為にインタンクを設置し、燃料を備蓄する。
・燃料不足に端を発した未納入(販売の遺失)に伴う損失の肩代わり(転嫁)を目的に保険を掛ける。
・物流業務そのものを、取引先に委ねる。(取引条件=単価に反映される)
低減不足の発生率や不足量の抑制
・重要資源が不足する可能性を低減する為の対応。(ただし、自社で管理できる範
疇に限られる)
・重要資源の不足が発生した際に、不足量を抑制する対応
・物流の委託先業者を絞り込み、震災発生時に当社向けの対応を望める環境を整えておく。
・少しでも燃料を確保できる確率が高い大手の物流業者に委託先を切り替える。
・物流の出荷指示単位(ロット)を大口化し、出荷サイクルを長期化する事で、燃料の不足期間内に出荷が必要となる確率を減らす。
中~小必要
受容不足リスクを、そのまま受け容れる・リスクマネジメント上の考え方の1つだが、重要業務の不足資源である事を踏まえた判断が必要不要

対応方針、選択肢の決定はリスクマネジメントそのものである。

現状に引っ張られすぎず、客観的な立場にたった検討が投資対効果の高い最善解への近道…。

【ポイント6】PJだけで孤立しない。経営層や現場の積極的な関与を引き出す

PJだけで孤立しない。経営層や現場の積極的な関与を引き出す

積極的な関与を引き出すには、想定訓練だけでは事足りません。

経営者、営業担当、現場担当、購買・調達担当の各々が受け身から発信者になることが重要です。

BCPの発信内容は、説明相手と説明目的を踏まえて、戦略的に、かつ統制がとれた内容で…。

CIOパートナーズ株式会社
代表取締役 吉田明弘

第2部 BCPを具体化する為の進め方 ~事例に基づく取組み計画の全体像とテンプレート活用法~(クリックして開く)

アジェンダ

1.BCP整備の流れ

<BCP整備の流れ(非公開スライド)>

内容をご確認いただきたい場合は、お問い合わせよりご連絡お願いいたします。

2.想定事象 首都直下型地震で想定される被害状況(概略)

項目想定内容(東京都の推定等)出所や影響など、補足事項
地震規模M7.3~8.2の地震により、都心で最大、震度7東京都の推定
建物被害約30万棟超うち、火災による焼失が20万棟以上、見込まれる。
(東京都の推定)
帰宅難民約517万人(東京都の推定)
また、他社では震災翌日の出社率を20~30%と想定しているケースが多い。
道路被害高速道路 約10%
一般道路 約9%が損壊
応急措置を講じても、救助や緊急物資の輸送以外に使えない程度の被害を受ける道路を指す。(東京都の推定)
インフラ施設の損壊(1)損壊
送電施設 約17%
通信施設 約7%
ガス管 約85%
東日本大震災では、送電・通信施設は1週間で約8割が復旧。ただし、ガス管等は復旧に1か月以上の長期を要する事が多い。
インフラ施設の損壊(2)上水道(水道管)の45%、下水道の23%が損壊水道管の復旧には長期を要する。
(東日本大震災の場合、ガス管同様、1か月以上の復旧期間を要する)深刻な水不足により、ミネラル・ウォータの需要が、全国の生産量を上回る試算も一部にある。
立入制限環状7号線の内側震度6弱以上であれば、同地区の立入を制限する可能性がある。(警視庁)
湾岸地区の被害バース(岸壁)全体の約75%が損壊。
浮き屋根式タンクの10%超で原油の流出と火災が発生
濱田教授(早大)の試算。
東京湾岸は、東京電力の火力発電の約50%を担う事から、原油・電力が長期に渡り不足する事態も懸念される

今回の策定するBCPでは、上記に記載した最悪の事態を想定して検討している。

3.被害想定の算定

被害想定の算定
  1. 関係各省庁より出されている地域別被害想定資料より、対象となる拠点の被害状況を記載する
  2. 施設・設備ごとに関係法令等より、被害想定の判定基準を準備する
  3. 被害の可能性について施設設備ごとに被害の可能性を判定する

4.フェーズ分けと活動方針定義

フェーズ分けと活動方針定義

初動期、再回期、復旧期の各フェーズに沿って危機管理体制を運営する。

5.優先事業の決定(重要資源・業務の選定の考え方)

優先事業の決定(重要資源・業務の選定の考え方)

重要資源・業務の選定では、
経済的損失や時間的損失、影響範囲(社内外への影響)や社会性などの視点で、影響度を検証する事が必要。

但し、

過程そのものより、経営者による固い決意

が不可欠です。

6.優先事業の決定(BIAによる評価・選定の方法)

優先事業の決定(BIAによる評価・選定の方法)

BIAによる重要資源・業務の評価・選定では、

・順序だった、合理的な評価
・自社にとって納得できる評価

にする事が肝要です。

※東北大震災対応では、社会的使命などを鑑みて、商品アイテムを絞り込むケースも出現。(大手食品メーカー)緊急商材(被災者の生命維持に欠かせない商材)として、即席めん、缶詰、乾めん・パスタ、レトルト食品、スープ・味噌汁の素、離乳食、粉ミルク、介護食、栄養補助食品、ミネラルウオーター、茶系飲料、機能性飲料等が対象商材として指定されている。

7.危機管理体制の全体像

危機管理体制の全体像

震災発生後、対策本部長(社長)は概況を確認後、可能な限り早期に危機管理体制への移行要否を判断する。

危機管理体制に移行する場合は、即座に「非常事態宣言」を発令すると共に、速やかに危機管理体制を確立する。

8.各機関の役割と設置場所の決定

主な役割構成メンバー
対策本部有事に組織され、BCPの対応等、重要な意思決定を行う。
・重要顧客に商品供給する内容
・被災地への応援内容(商品・要員・輸送力など)
・商品の供給開始(判断と指示)
・対策本部長:社長
・副本部長:営業担当の副社長
・各本部長および副本部長
事務局対策本部を支援し、対策本部会議を開催するとともに、各
ワークグループや関係部門との調整を行う
・経営企画室
ワークグループ(共通対応)・食料、用品の管理・配布・調達、宿泊先の確保のほか、全社で共通に必要なリソース燃料等の確保、システム対応、補修・修繕支援、広報・法務支援対応を行う。・本社総務部
ワークグループ
(業務対応)
・BCP発動後の安否確認・当社拠点の被害情報の収集と支援リソースの確保・送り込み等の対応・各事業本部業務部
ワークグループ
(顧客対応)
・重要顧客との連絡を行い、客先に常駐して被害の状況、受注や納品方法等の情報収集を行う。・営業本部
現地対策本部・ 被災拠点状況の情報集約と対策本部への報告
・ 被災地内の要員再配置
・ (商品・要員・輸送力等)支援内容を纏め対策本部へ要請
・被災支店・営業所への支援リソースの割り振り
・現地対策本部長:東京支店長
・副本部長:東京支店業務部長
・スタッフ:東京支店メンバー
・本社連絡担当:先遣メンバー
中継地点・運送の段取り
(ルートと配送順序・出荷時間、車別積載割当て)
・中継地点長:先遣メンバー
・中継地点スタッフ:先遣メンバー+従前のメンバー
支店・営業所
(被災地)
・重要顧客の受注
・支店内・営業所内での重要顧客への商品振分
・重要顧客への商品配送
・従前のメンバー
支店・営業所
(非被災地)
・商品の確保と供出
・輸送力の確保と供出(運送業者に確認)
・要員(応援メンバー)の供出
・従前のメンバー
各機関の役割と設置場所の決定

供給再開は、全体状況を踏まえて対策本部が決定する。

供給再開の決定後、商品の円滑な供給に向けて各機関は上記の役割を担う。

9.フェーズ業務設計 初動スケジュール(1日目のみ)

フェーズ業務設計 初動スケジュール(1日目のみ)

(参考)臨時組織の設置条件

設置条件
(以下を満たさない場合、条件を満たす代替候補地に設置する)
施設の状態損壊が一部で業務スペースが確保できること
余震で社屋の損壊の危険が小さいこと(隣接する建物を含む)
社屋内の電源設備、通信設備が利用可能なこと
利用可能な会議室が2か所以上、確保できること※窓ガラス等の破損がないこと
業務連携
(インフラ)
通電している、若しくは停電見込み期間が3日以内であること
通信ネットワークが開通している、若しくは3日以内に開通見込みであること
上下水道が利用可能であること
アクセス面立ち入り制限区域以外であること
非被災地からの移動(乗り入れ)が可能であること
駐車スペースが10台以上確保可能なこと(立体駐車場は除く)
臨時組織の設置条件

現地対策本部・中継地点の設置可否判断をスムーズに行えるよう、予め候補拠点を定め設置条件を設定しておく。

被災地の現地隊先本部・中継地点の候補拠点では、設置条件に関する項目についても、初動時の確認項目として明確にしておく。

(参考)緊急連絡網

緊急連絡網

連絡網では、必ず連絡がつくよう個人の携帯番号のほか個人のメールアドレス、家族の携帯番号等も記載すると連絡がつきやすくなる。

異動の都度、最新の情報に作り替えるとともに、該当者全員に配布・周知を徹底する。

必ず代替者を準備し、担当者が不在にならない様にする。

(参考)現地対策本部・中継拠点周辺宿泊施設一覧

現地対策本部・中継拠点周辺宿泊施設一覧

厚木支店 厚木市○○○1-2-3
大阪からのルート 名神高速~新名神高速~東名阪高速~伊勢湾道~東名高速~新東名高速~小田厚木道路~東名高速厚木インターより5km総計468.3km(平時;5時間35分)

先遣隊の派遣には、派遣の拠点に詳しいメンバーが最適だが、全員が詳しいわけではないため、候補となった拠点へのアクセスおよび現地の詳細地図の準備は必須要件。

被災地の拠点メンバーは、業務の再開に向けて専念することが重要なため、宿泊先の確保等は事前に確認を行い、震災発生とともに、他社に先駆けて予約が可能となるようにすることが必要。

人数・宿泊数も予め決めておくことで、宿泊先の確保をスムースに行う。

CIOパートナーズ株式会社
代表取締役 吉田明弘