CIOパートナーズ's メールマガジン vol.2
前回のメルマガで「デジタル人材(後編)」の配信を告知しておりましたが、今回は予定を変更し、優先してお伝えすべき「災害時のBCP・二次災害防止対策」に関する内容をお届けいたします。
※「デジタル人材(後編)」につきましては、今後改めて配信する予定です。予定の変更につきまして何卒ご了承いただけますと幸いです。
【CIOメルマガのコンセプト】
・発信の頻度 … 毎月1回(目安)
・主に取りあげるテーマ
1. 情報システムやDX、AIの導入と業務改善に関する内容
2. BCP/BCMの整備に関する内容
※当社が日ごろからご支援しているテーマが中心です。
・コンセプト
1. プロジェクトの取組み事例などを交える
2. 各テーマ専門部署ではなく、経営層や関係部門キーパーソン向けの内容にする
※例えば、IT関連テーマは、情報システム部門向けではなく、関連部門の皆様向けに…
ぜひ、お手すきの折にでも、ご一読いただき、ご参考にしていただければ幸いです。
大規模地震などの災害発生時、貴社のBCPでは「避難後の初動手順」や「安全確認のフロー」が明確に定められているでしょうか?
今回は、2026年7月28日の熊本地震後に発生した、「イオンモール熊本」での二次災害事例から、自社のBCP(事業継続計画)やBCM(事業継続マネジメント)のチェック・見直しにおける重要ポイントをお伝えします。
イオンモール熊本の二次災害を教訓にしたBCPのチェック・見直しのポイント
まず、当時の施設管理体制と発生経緯を振り返ります。
【管理体制】
- 施設管理:イオンモール株式会社
(従業員やテナントなどの再入館の可否を判断) - FM・総合ビルメンテナンス:イオンディライト株式会社
(発災後に受変電設備のメインブレーカー遮断、主要ガス元栓の封鎖、非常用発電機の作業、現場の一次確認を担う)
※自衛消防組織や現地災害対策本部の中に組み込まれ、施設管理者の指示をもとに活動 - テナント各社
(個別店舗の安全確保のため、避難時に個別ブレーカーの遮断やガスの個別元栓の封鎖などを実施)
【当日のタイムライン】
16:27 地震発生
16:35 館内アナウンスと初期避難の開始
17:00~17:30頃 避難完了と安全確認
(一部のテナントの従業員が再入館)
17:50 爆発発生
二次災害における「問題点(可能性)」
なぜ避難完了後に再入館し、爆発事故の犠牲者が出てしまったのでしょうか。
大きな要因として以下の2つの問題点(可能性)が推察されています。
(問題1)担当部署(この場合はファシリティマネジメントを受託するイオンディライトと推察される)による現場の一次確認と二次災害の防止に向けた措置(メインブレーカーの遮断ほかの初期対策を含む)を経ずに、 一部のテナントが先行して再入館した可能性
※爆発時点では、館内または設備の一部に通電していた可能性が高いと推察されています。
(問題2)テナントにおいて、施設管理者の動向・判断を踏まえずに再入館を指示した可能性
・現場にいない責任者の判断と業務指示によって再入館が行われたテナントもあった。
(※状況や施設管理者の動向を把握していない中で現場任せの判断が下された可能性)
・再入館時の装備や体制、遵守事項の事前確認なども徹底できていなかった可能性。
「自社には関係ない」と言い切れない理由
今回の件は、決してイオンモール熊本特有の事象ではありません。
- ガス爆発だけでなく、余震による建物の二次崩壊リスクがある
- ショッピングモールのテナントだけでなく、工場等における製造請負業者でも同じ課題が生じる
- 「現場に責任者が不在」という状況は、夜間や休日の発災時でも同様
「自社には関係ない」と安易に割り切るのではなく、自社で類似の事態に直面した際、同じ事を繰り返さないために「BCPのチェックと見直し」が極めて重要です。
避難後のBCP初動手順と体制「4つのチェックポイント」
避難後のBCP初動手順と体制が明確になっているか、以下の4点をご確認ください。
1. 現地責任者の許可を得ずに再入館しない事の徹底
✓ 夜間などの場合、誰が現地で統制するのかが明確になっているか
✓ ビジネスパートナーにも、周知徹底ができているか
2. 現場の一次確認の手順と体制の明示
✓ 夜間など出社社員が限られている状況でも対応できるか
【一次確認を行う際にBCPへ明示すべき事項】
・チェック箇所・チェックポイント(優先順位の明確化)
・余震による更なる倒壊リスクを踏まえ「安全なルートが確保できる範囲に限る」などの条件
(※特に地震発生後2~3日間は大きな余震の頻発リスクが高い)
・いきなり内部に入らず、まずは館外から視認してチェックするなどの手順
(※ドローンの活用なども検討)
・再入館時の装備(ヘルメット、笛、無線トランシーバーなど)と体制(単独行動は厳禁)
3. 受変電設備のメインブレーカー遮断など初期シャットダウン事項の手順と体制の明示
✓ 夜間など出社社員が限られている状況でも対応できるか
※初期シャットダウンが必要な事項は各社・各事業所により異なります
(建物内部の一次確認後に行うか、建物から独立した設備か等)
4. ビジネスパートナー(製造請負やテナントなど)との連携ルールの明示
※責任者不在時でも連携が担保できる体制を整える
✓ 安否確認の連携
✓ 再入館や帰宅、出社などの行動連携
✓ 非常食などの融通について
✓ 現地災害対策本部への参画や情報伝達ルールの明示
万が一の事態において、従業員や関係者の安全を守り、迅速な事業復旧を図るために、ぜひこの機会に自社のBCP手順を見直してみてはいかがでしょうか。
ご質問やBCP策定・見直しに関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。