ご注意とお願い

以下の資料は、著作権法と不正競争防止法の保護を受けています。
従って、資料の一部あるいは全部について、CIOパートナーズ株式会社からの承諾を得ずに、いかなる方法においても無断で、複製、ノウハウの使用、企業の展開等をすることは禁じられています。
恐れ入りますが、上記をご承諾頂ける場合のみ、以下のレポート名をクリックして頂き、本編にお進みください。

システム整備だけでは実現できない!営業改革のポイント(中編)(クリックして開く)

本レポートは、著者が講演したセミナー講演内容等を元に作成しています。
また、前編からの続きとなっています。

アジェンダ

前編の要約

  1. 営業強化を経営課題と位置づけつつ、成果を上げられずにいる企業が多い。
  2. こうした企業の多くでは、「営業が“職人”と変わらない扱い」になっている。
  3. この主な原因の1つに、成果(契約)は厳しく管理していても、プロセスは個人任せになっている事が挙げられる。
  4. この弊害は、パフォーマンスの上がらない営業担当者ほど顕著に表れる。
  5. こうした現状を踏まえて営業強化の方向性を検討すると、
    ①社内の出来る営業担当者の行動プロセスを対象に
    ②自社の営業の“勝ちパターン”(標準プロセス)をモデル化し、
    ③パフォーマンスの上がらない営業担当者の行動に適用できる様にする

4.モデル化のターゲット

前編でも記載した通り、私たちが支援する中でも、

『他社のやり方をウチでもモデルに…』

というお客様の率直な要望をよく伺います。

しかし、自社の営業の勝ちパターンをモデル化するカギは、
自社のパフォーマンスの高い営業担当者を対象にする事にあります。

なぜなら、同じ業種や同じ商材を扱う企業であっても、
自社の業界ポジションや競合他社と比較した強み・弱み、対象となる顧客セグメント、セットで取り扱っている商材など、
様々な要因で営業プロセスは全く異なる為です。

従って、自社の営業担当者の中からターゲットとする人物を定めて、標準モデルを確立するアプローチが欠かせません。
(こうした手法は、ベンチマーク・アプローチの中の「社内ベンチマーク」と呼ばれる手法です。)

この際、以下の2つがポイントになります。

1.適切なグループ設定
2.「中の上」をターゲットにしたモデル化

例えば、同じ会社の営業担当者であっても、
大口の既存顧客を担当する営業担当者と新規顧客を担当する営業担当者では、求められる営業プロセスが自ずと異なります。

これは、扱う商材や顧客の業種、法人担当と個人担当など、様々なケースがあります。
従って、確立する勝ちパターンも当然、それぞれのケース毎に異なります。

但し、精緻さを求める余り、グループを細分化し過ぎても、適用対象となる営業担当者(母集団)が小さくなるばかりで実効性は上がりません。

ゆえに、運用後の実効性を見据えてグループ設定は総合的に検討する事が重要です。
また、ターゲットにするモデルは、社内でも「ほどほどに成果の高い営業担当者」を対象にする事がミソです。

どこの企業でも社内には「伝説の営業」がいます。

しかも、往々にして、昔のレジェンド級の営業が、今は社内の営業部門の責任者(営業本部長や営業部長)になっています。
私たちがお客様をヒアリングする中で、これらの方々から

「なぜ、当社の営業はこんな事もできないのか…」

と嘆き節を聞く事も少なくありません。

但し、こうした「伝説の営業」の行動は、正に職人芸そのものです。

しかも、その営業スタイルは、個人の性格(例えば、社交的である、好奇心が旺盛。など)に依る部分も少なくありません。
従って当然、成果の上がらない営業担当者が、一朝一夕に習得できるものではありません。

従って、ターゲットとする営業担当者は、相対的に「中の上」のグループから選抜する事がミソといえます。

あるお客様がおっしゃった例えを引用すると、

『リトルリーグのレベルの野球少年に、プロ野球の選手が実践している練習や準備のやり方を、いきなり指導(押し付け)しても殆ど身に付かない。だから、先ずは中学・高校野球レベルの事を教えて、そこから先は個人の資質に委ねる。』

という事になります。

5.モデル化の対象となる行動

次にモデル化の対象になる行動について、ポイントを整理します。

以前から、顧客満足度(CS)等が重視されていましたが、SNSの急速な普及に伴い、
顧客や消費者の“クチコミ”が簡単に拡散する近年は、「受注後のフォロー」が一層、重要になっています。

これは、多くの企業にとって、主に受注までを担当する営業担当者と、受注後を担当する実務担当者の緊密な連携が欠かせない事を意味します。
また、長かったデフレ経済が終わりを迎えつつある中、相変わらず「熾烈な価格競争」に陥っている企業も少なくありません。
こうした企業が、価格競争を避けるには、価格面以外の差別化が欠かせません。

そこで、お客様のニーズを汲み取った提案(ソリューション提案・コンサルティング提案)がますます重要になってきている事も周知の通りです。

しかし、多くの場合、こうした提案活動を営業担当者だけで進めるには限界があり、営業活動の早い段階から実務担当者への相談が欠かせません。

加えて、お客様のニーズを汲み取り、提案内容を検討するにあたって、白紙の状態で検討を始めるケースは極めて稀です。
大半のケースでは、適切な参考情報(類似案件の情報など)を社内各部署から集め、集まった情報をベースに検討する事になります。

こうした状況を踏まえると、モデル化の対象となる行動は、お客様に対する行動を含めた以下の3つの側面から検討・定義する必要がある、といえます。

  1. お客様を対象にした行動
  2. 社内(実務担当)を対象にした行動
  3. 社内に蓄積された情報に対する行動(情報アクセス)

つまり、勝ちパターン(モデル)とは、

「営業担当者が、社内に分散して蓄積されて参考情報を集め、お客様のニーズを踏まえて案件の提案方針を決定し、お客様と社内の実務担当者のハブとして活動する」為に、『いつ』『何をするのか』をまとめたもの

といえます。

また、特に法人向け営業などの場合、営業活動をモデル化する際に、
「HOW TO」(営業現場では、「引き出し」と表現する事も多い)を定義しても、実務で活用できないケースは少なくありません。

こうした場合、「HOW TO」より「要件」(求める状態)に重点をおいてモデル化を進める事がポイントです。
※例えば、「○○フェーズ:現時点で想定される競合企業と製品を確認する」等が要件の一例です。

勝ちバターン(モデル)にHOW TOが規定されていなくても、次にクリア(達成)すべき要件が細かく定義されていれば、
その要件を達成する為の手段(HOW TO)は、毎週の営業会議等の機会を利用して営業担当者の上司が具体的にアドバイスする等、補完する事ができます。

また、それぞれの営業案件について、「次にクリアすべき要件」を共有して営業会議を運営する事で、
会議の中で議論する内容が具体的になり、営業会議の質も驚くほど向上します。

つまり、勝ちパターン(モデル)は、

無理にHOW TOまでモデル化せずとも、マネジメント活動と組み合わせる事で十分に実効性を確保できます。

特に、営業案件のリードタイムが長く、途中でHOW TOに関する周囲(上司など)のサポートが可能な企業ではこうした点も念頭に入れる事がミソです。

後編では、定義した「勝ちパターン」の社内への浸透・定着化を図り、営業力の底上げと受注見通しの精度向上につなげる管理体制などにポイントに焦点をあてて解説します。

CIOパートナーズ株式会社
代表取締役 吉田明弘